オリジナルアルバムとしてはなんと30枚目を数えるそうだ。「夜会」で発表された曲や、工藤静香や研ナオコらに提供した曲などを集めた、中島みゆきのセルフカヴァー・アルバムである。 1975年のデビュー以来、厳しい現実を切り取り、人の心の深淵を覗き込むような歌を得意としているイメージの強い彼女だが、本作はそのタイトルどおり、どこかしら寓話的な舞台設定の中でドラマが展開する楽曲が中心となっているよう。演劇界の重鎮・唐十郎が作詞した2曲を、まるで2幕劇のように聴かせるや、めぐり会いすれ違う男女を描いた2人芝居さながらの（さだまさしとのデュエット）などをはじめ、「夜会」以来、さらに豊かになった感情表現の幅と厚みをいかんなく発揮した作品である。（剛吉若寸也） “夜会”や他の歌手への提供曲から、タイトルのコンセプトにそって選んだセルフ・カヴァー・アルバム。妖精と小人、桃源郷や恋の魔力などファンタジックなストーリーと愛らしい歌い方でまとめられているが、この裏に本当は恐いグリム童話的魔女性を感じるのは気のせい? 通算30作目となるオリジナル・アルバムは、他アーティストへの提供曲や未収録曲、夜会オリジナル曲など全11曲を収録したセルフカバーアルバム。サブタイトルの「Fairy Ring（妖精の輪）」とは、妖精が足跡をつけたように芝生に小さな点が輪状に暗緑化している状態をさす。